本日は第二回安全技術講習会を実施しました。
朝7:15~という早い時間にもかかわらず、47名のコーチが出席してくれました。
お疲れさまでした!
今回のテーマは「安全視点からのタックル」。
タックルは重症事故が多く起こるといわれているシチュエーションですね。事故が起こった要因に関する報告、検証文書を読むと
・股関節よりも頭が低い位置にある
・(主に子供に)姿勢を維持する体幹・筋肉がない
ことが要因だと言われているようです。
感覚的には納得できますね。
それであれば、発生要因の逆である
「頭を股関節よりも高い位置に」すればいいじゃないか?
ということで一挙解決と思いきや、一方の「姿勢を維持する体幹・筋肉がない」という事実をどう取り扱うかという問題に直面します。
今回講習を構成するにあたって考えたのは、この「姿勢を維持する体幹・筋力がない」子供たちが、「良いタックルの典型姿勢」を実現するのが難しい時のタックルとは?という視点で考えてみました。
端的に言えば
「良いタックル」≠「低いタックル」
という考え方から、
「良いタックル」=「強い姿勢のタックル」
への意識変更を一つの解決策として提示することにしました。
この場合の「強い姿勢」というのは、写真のように「脚力を効率的に伝えられる姿勢」と考えています。
この考え方は、昨年度の安全推進講習の内容と合致しているので、現時点での一般論として見ても良いと思ったので採用。
また、個人的には子供たちを一律同じ状態を再現するための練習ではなく、子供たち一人一人の身体能力に合わせたコーチングという点でも良いのではないか?と思ったことも提示した動機の一つです。
さて強い姿勢の練習例として、現在小4で行っている「身体を当てる練習」を小4の子に実演してもらいました。
この「身体を当てる練習」は、子供たちがタックルの時に手で捕まえに行く癖があったのでその対応策。すべての学年に当てはまるかどうかは、学年コーチが判断していただければと思います。強い姿勢を意識した練習の一つですね。
それと コーチのみなさんにはケンケン相撲での身体の使い方を体感してもらいました。
片足でケンケンしながら相手を押し出すためには、しっかりとしたヒットが必要となります。その時に、しっかりとした踏ん張りが必要。これが強い姿勢によるタックルに通じるという例でした。
でも、さすがコーチの皆さんはしっかりとしたアタリが出来ていました。中にはケンケンでの逃げ足が相当早いコーチもいました。危険察知能力が高いといえる?
今日やったことが、日頃の練習の中で考えるきっかけになれば、ほぼ目的は達せたと思うのですが、どうだったでしょうか?
しかし、今回タックルを講習で取り扱う難しさを感じました。
「良いタックル」=「強い姿勢のタックル」としても、「背の高い子が背の低い子にタックルする」ときの安全性については、解決が難しい。
低い姿勢のタックルを推奨する場合には、背の高い子が無理やり低い姿勢になろうとして頭部が股関節より低い状態になることが多いようですし、今回の強い姿勢のタックルを推奨した場合は背の低い子に対してハイタックルになる可能性があります。
小学生でこの場面を解決するのは、とても難しい気がしていますがいい方法があれば教えてください。
さて、講習を進めるにあたって幾人かのコーチに、自分達がやってきた時にはどんなタックルが良いタックルと言われていたのか?を話してもらいました。
「低く飛び込むタックル」とか「相手を頭から落とすようなタックル」が良いとされていたという例が出ていましたね。
私も共感してしましますが、現在では危険とみなされたり、重いペナルティを課せられるプレーです。
自分達が経験したこととは違う価値観で教えなければならないのもタックルをコーチングする難しいところかもしれませんね。
また、トップチームや代表レベルでは逆ヘッドタックルが行われています。
しかし子供たちに教えるべきことではありません。
子供達の憧れのプレーヤーが行うプレーと自分たちが行うプレーとに違いがあるところも、現在のラグビーの得意な点と言えるかもしれません。
そんな状況ではありますが「姿勢を維持できる体幹・筋力がない」「低い姿勢を保つことが難しい」子供たちの、タックルにおける重症リスクを少しでも低減できるように、今後もコーチのみなさんが考えるきっかけになるようなことを提示していけたらと考えています。
それでは。