3/23の安全講習会の中で、鎌倉ラグビースクールの安全運営の目的としては「重症事故のリスク低減を目指す」もので「重傷事故」とは異なると話しました。

趣旨としては、日本ラグビー協会の定義と神奈川県ラグビー協会が報告を義務付けている症例について「重症」としており、そこで言及されていない怪我(例えば骨折など)は「重傷」ではあるけど「重症」の対象ではない、という趣旨で話したと思います。

 

(参考)重症事故の定義(日本ラグビーフットボール協会)

重症傷害とは以下に挙げるものをいいます

  • 死亡例
  • 頭蓋骨骨折の有無にかかわらず24 時間以上の意識喪失を伴う
  • 四肢の麻痺を伴う脊髄損傷
  • 開頭および脊椎の手術を要したもの
  • 胸・腹部臓器で手術を要したもの
  • 以上のほか診断書で重症と思われるもの

その他、神奈川県協会で報告指定されているもの

  • 脳震盪及びその疑い
  • 熱中症

 

ラグビーはコンタクトを伴うスポーツであるため、どうしても大なり小なり怪我はつきものです。もし安全運営で「全ての怪我を無くすことを目指す」といっても不可能だというのが、鎌倉ラグビースクールの安全運営の基本認識。

怪我を根絶するためにはコンタクトを無くすことが一番。ただし、このことによりラグビーが持っている魅力や価値がなくなってしまう懸念を考えてのことです。

 

とはいえ、何もしない野放し状態というのも、安全を志向する世界的な動きに反してしまいます。

そこで、達成が期待できる活動として「重症」傷害が起こるリスクの低減を目指すというのが、鎌倉ラグビースクールに限らず、日本ラグビー協会をはじめとした団体の方針となっていると思われます。

 

このことを話したのは、コーチの中に安全運営が骨折等、上記の定義に入らない事故を防ぐことまで含んでいると思っている方が少なからずいたためでした。

極端ですが「腕の骨折を防げなかったから、この安全運営には意味がない」風な論調を聞いたこともあったので、「そういうことではないんだけどなぁ」という想いですね。

 

もちろん、「重症」傷害を防ぐ活動を行うことで防げる「重傷」傷害もあると思われますが、どの傷害が当たるのかも不明確なので、言及はできません。

また活動も「リスクの低減」であって「リスクの根絶」ではありませんから、見方によっては消極的に見えるかもしれませんね。

 

ただ、それをもって全ての活動を「無意味」的に受け取るのも如何なものかとも思います。

我々としては、野放しの状態よりは出来るところから行動を起こして、その適用範囲が広がっていけば良いと考えています。

そのためには、コーチ全体の知識レベルの向上と判断・行動力の向上が不可欠。スクール全体の活動とし、コーチ資格と連動させているのはそのためです。

 

皆さんの「子供の安全」に対する意識はそれぞれだと思いますが、共通の行動指針の下に目の前で起こった時には子供の状態を判断しながら行動出来る自立性を持つというのが目標。

皆さんのご協力をいただけると助かります。

 

 

しかし、そもそも「重症」と「重傷」ってどう違うんでしょうね?

ネット上で拾い集めてみると,一般には病気が「重症」、怪我が「重傷」と扱われることが多いですが、本来は病気も怪我も「重症」。しかし、重症と重傷を消防と警察がそれぞれ定義しているので、上記のような扱われ方をするらしいですね。

重症:消防署による定義→傷病の程度が3週間以上の入院を必要とするもの

重傷:警察による定義→命に別状はないが、全治30日以上要する傷や怪我(30日未満は軽傷)

で、消防が救急搬送するのは病人と怪我人で、事故による怪我でも消防は「重症」を用いるとのこと。また、警察は怪我人の状態を診るが、病気を診ることがないので「重傷」を用いるとのこと。

 

ラグビー協会は、上記の定義とは別に「重症傷害」を定義しているということですね。

説明を聞いて、一般とのイメージの違いを感じるのも無理なからぬことのように思います。ただし、鎌倉RSとしては、日本ラグビー協会、神奈川県協会の提議に従って運用していきますので、ご留意ください。